Our Love ⑩ 君じゃなきゃ駄目なんだ

2012.12.08 00:00|Our Love
OurLove.jpg



(YeSung side)

耳がいい・・・というよりもここまで来るともう頭が痛い。

時計の秒針が刻む音が気になるという人は多いかも知れない。

でも自分のは異常だと思う。

ヘッドホンやイヤホンをしているのは何も音楽を聴いていたいからじゃない。

いや、純粋に音を聞いているときもあるが。

いつからだろう・・・回りの音を断ち切りたいからしている行為でもあった。

空調が稼動する音、蛍光灯のジーッという音・・・給湯器を稼動させ、ガスが点火する音・・・コンクリートに反響して伝わるコツコツと響く階下?階上?の靴音とドアの開閉音。

締め切った室内にいても遠くで聞こえるクラクション。

別室から漏れ聞こえるアラーム・・・誰かの鞄の中で振動する携帯のバイブレーションの音。



洪水のように押し寄せ・・・頭が痛い。




微かな電子音が聞こえ体を起し、ベッドから抜け出した。

静かな室内にペタペタとはだしで廊下を歩く音がやたらと響くが、構わずに歩を進める。

どうせ俺以外その事を気にする人間なんて居やしないいんだ。

目的の部屋に付くとノックもせずにドアを開け、ベッドに近づいて発生元を遮断する。



『起きろ。』と声をかけると返ってきた『んー・・・』という寝ぼけた声。



「起きる時間だろ。起きろ。」



勝手に止めたとか後で言われるのは嫌だから、もう一度体を揺すりながら声をかける



「んー・・・起きました・・・。」



言ったぞ?

知らないからな・・・。

もう一度ベッドに入ろうかな・・・多分眠れないだろうけど。

いや、もういいか・・・。



方向転換してリビングへと足を向け、ソファーに身を投げ出すように座ると目を閉じた。

窓はしまっているのに、換気システムから入ってくるのだろうか、自動車の走行音が微かに聞こえる。

・・・今日も頭痛くなりそうだな。

そう思っているとパタパタと軽やかな足音と柔らかいハミングが聞こえてきた。



「うわっ・・・ビックリした。起きてたの?」



濡れた髪を拭きながらリビングに入ってきたリョウクは誰もいないと思っていたのだろう、一瞬驚いて足を止めたが直ぐにキッチンの方へと姿を消した。



「んー。」

「・・・シャワーして来たら?皆起きだすと混むよ?」

「ん。」



冷蔵庫の中を覗いて何やら考え込むと、幾つかの食材と備蓄されている惣菜をひっぱりだした。

『ほら、早く。』と半ば追い出されるような形で浴室へと追い立てられた。

シャワーの水音が体を包んでもその向こうから聞こえる誰かの足音・・・これはヒョクかな。

手早く済ませ着替えて浴室を出ると、起きてきたばかりのヒョクチェとすれ違う。

リビングからまた違った音がする。

リズミカルな音と・・・柔らかい優しい声



・・・リョウクの歌だ。



キッチンを覗くとまな板の上で何やら刻みながら歌を歌っていた。

鍋で沸騰する湯の音、具材を入れる音。

それらをサウンドに歌うリョウク。




いろっけましっそどどぇなよ(どぇなよ)
いげさらみまんどぅんごんがよ(ごんがよ)
いろんげいったぬんそむんどなぬん とぅろぼんぢょっとおんぬんで

ましおっとにゃ ねげむんねよ(むんねよ)
ぬんむるるふっりみょ なんまれぢょ(まれぢょ)
もりいぇとっらご いろっけましぬんよりぬんなん
ちょうみや





あれ・・・痛くならないな。

小さな音に神経をすり減らし、ささくれ立っていた心が、スッと凪のように静まっていく。

キッチンの入り口で立ち尽くし、リョウクの立てる音に耳を済ませる。

鍋をお玉でかき回す音、ガスを調節し小さくなった炎の音、微かな衣擦れとスープを味見する音。

なんでだろう・・・本当に・・・気にならないな。

いつもなら煩わしい箸がなる音まで、全ての音が優しい気持ちにさせてくれる。

「うわっ!・・・いつからそこに?」

「ん。」

「・・・もしかして聞いてた?」

「あぁ。」

「・・・恥ずかしいな。」

「今更なんだよ。いつも歌ってるのを聞いてるじゃないか。」

「そうだけど・・・恥ずかしいの。なんか言ってよ。」

「なんかって何だ?」

「・・・なんか!」

「んー・・・お前の歌じゃないだろ。」

「そっち?!」

「違うか?」

「もういい。」



『出来たけど食べる?』と聞かれて頷くと、あとのメンバーを思い浮かべたのか少し上を向いて手を止めた。



「子どもじゃないんだし、自分でするだろ。」



そう言って食器棚から二つ茶碗を出しご飯をよそい、スープ椀を二つリョウクに突き出す。



「ん。だよね。」



惣菜をテーブルに並べて幾つかは電子レンジで暖めなおした。



「いただきます。」



そう言ってリョウクを見ると『はい、どうぞ。』と答えてくれる。

二人でご飯を食べていると、バタバタと足音を響かせてキュヒョンが部屋から飛び出してきた。



「ヒョン!俺のアラーム止めたでしょ!!」

「・・・起したぞ?」

「あー!!もう!!ヒョクヒョン!シャワー代わって!!」



・・・頭痛、しそうだな。

違う意味で。



「リョギ!俺のも!!」



そうリョウクに言った後リビングを出ていって、待てないのか浴室に乱入し、驚き非難の声を発するヒョクチェに『今さら見られて困るもんじゃないでしょ』と言い放っている。



朝から騒がしいけれど・・・リョウクの笑い声が心地よかった。



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Comment

にやける

二人のキッチンの様子を覗き見してるみたいでにやける。
『もう、後ろからだきしめちゃいなよ』
…なんて思っても、しないな…兄さん…。(残念だ…←何が?)
リョウクは最近、『アイスマン』のイメージが私の中ではちょっと付いてるけど、兄さんの前じゃきっと可愛い子。

どれどれ(@ ̄ρ ̄@)

ホント?ありがとう!
宿舎のぞき見ファンフィックです!(@_@。
チャンスなのに、ねぇ?
タイミングを期待通りに逃す兄さんが好きです。
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CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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