another ocean #13

2012.10.23 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean

RyeoWook side

鳥の声で目が覚めた。
枕元の時計に目をやる・・・針は12時と知らせていた。
鳥の声が聞こえたから、夜・・・なんてことは無いだろう。

なんだろう・・・この違和感は。

まるで・・・垂れ込めていた霧が晴れたように・・・空気の粒まで見えるように・・・世界の全てがクリアだ。
体を起すとベッド脇に座り、まるで添い寝をするかのように眠っている兄ドンヘがいた。
ドンヘを起さないように、そっとベッドから抜け出し、鳥の声に誘われるように・・・窓の傍まで裸足のまま近づいた。

・・・なぜだろう。
カーテン・・・あけても大丈夫な気がするのは。

そっと摘んでたくし上げてみる。
足元から明るい光が差し込み、リョウクの足の甲に降り注ぐ。

・・・暖かい・・・。

両手でカーテンを掴むと、勢いよく左右に開いた。
シャッと音をたて、眩しい光が差し込み、目の前が真っ白になった。
リョウクは目を閉じることをしなかった。

眩しいと・・・目が見えないなんてことも知らなかったから。

徐々に光に目がなれてくると、辺りの景色がよく見えた。
青く澄み渡った空、湧き上がる白い雲・・・頭上で輝く太陽から降り注ぐ日差しが光の束となって地に落ち、木々が影を作る。

世界はこんなにも美しいものだったのか・・・。

流れ出る涙を拭いもせず、リョウクは光の中に立ち尽くした。
そっと鍵を開け、窓を開ける。風がリョウクの頬をなで、光がその頬を包んだ。
風の匂いを嗅ぎ、鳥の囀りを聞いた・・・キラキラと降り注ぐ光の肌触りを感じる。

「リョウク?」

呼びかけられ振り返ると、ソファーには毛布に包まったキュヒョンが居た。

「・・・キュヒョン?どうして?」
「・・・覚えてないのか?」

眠そうに目を擦りながら、体を起したキュヒョンはらしくない格好をしていた。
おそらくドンヘの物だろう・・・見覚えのあるVネックのTシャツに綿パン・・・ズボンは明らかに丈が足りなさそうだ。

「ん?・・・キュヒョン?・・・ 目、覚めたのかって・・・リョギ・・・カーテン開けて・・・おい・・・泣いているのか?」

ドンヘも起きたらしい。
慌てて傍にやってきてカーテンを引っつかみ閉めようとするから『大丈夫』とそれを制し、あわてて涙を手の甲で拭う。

「・・・なんで、キュヒョンがヒョンの服?」
「・・・血まみれだったからさ。それに、臭いってお前の兄さんに燃やされた。」

血?・・・血・・・。

頭の中に過ぎる映像をかき集め、繋ぎ合わせる。

そうだ・・・キュヒョンは怪我を・・・ドンヘがそれを癒したんだ・・・血が・・・ジョンウニヒョンが・・・ジョンウン?

リョウクは思い出した。
自分を見つめ返す優しい目を。
後頭部に回った小さな暖かい手を。
『大丈夫だ。俺は死なない。』そういった声を。

「・・・あぁ・・・うそだ・・・にいさん・・・。僕・・・なんてことを・・・。」

部屋を飛び出して、兄ジョンウンの部屋のドアを勢いよく開ける。


兄の部屋は・・・深い海の底のように静かだった。
作られた夜の中で・・・蝋で出来た人形のように兄は眠っていた。

「・・・ヒョン?」

ベッドサイドに近寄るが、怖くて触れることが出来ない・・・。
もし・・・冷たかったら?
動いてくれなかったら・・・ガラスのように・・・壊れてしまったら?

「大丈夫。眠っているだけだから。」

後ろからギュッと抱きしめられ、耳元でドンヘの声が聞こえる。

「本当?」
「うん。」
「本当に?」
「あぁ。俺がうそ言ったことあるか?」
「・・・うそは言わないけど・・・本当のことも言わない。」そう言うと
「・・・こいつ。」抱きしめる腕に力を込めてくる。
「・・・痛い。」
「ヒョンは誰よりも人魚だろ?」
「うん。」
「だから大丈夫だ。」
「・・・うん。」
「それに・・・今のお前を見たら喜ぶよ。」
「・・・うん?」
「頬に・・・赤みが差して・・・綺麗だ。・・・きっと、いや、絶対喜ぶ。もっと早くこうすれば良かったって言うよ。」
「うん。・・・ありがとう。」

すこし落ち着いて、ドンヘの手を叩くとするっと拘束が解かれる。
改めてジョンウンを見ると微かに胸が上下に動いているのを確認することが出来た。
ベッドサイドにあるオーク材のサイドテーブルの上に、何冊かの本が重ねてある。

・・・本、読むんだ。

兄の部屋へ足を踏み入れたのはこれが初めてだった。
大体はリビングかリョウクの部屋に兄が来るかっだった。
自分に付き合って・・・外に出ようとしない兄は、この部屋でずっと何をしていたのだろう・・・。

「・・・ヒョンはここに入ったことある?」
「いや・・・ない。」

二人して部屋の中をしげしげと眺める。壁という壁・・・全てが本で埋め尽くされていた。

「凄い量ですね・・・『人魚』 『マーメイド』 『セイレーン』 『マーフォーク』 『ローレライ』 『メロウ』 『ゼーメンシュ』 ・・・ 『ドラキュラ』 『吸血鬼』これって・・・全部そうなの?民話・童話・・・伝承みたいなのも含まれているけど・・・。」

いつの間にかキュヒョンも部屋を見回し、手近にあった本をパラパラと捲っている。

「イェソンは知りたいんだよ。自分達の事を。」

声がする方を振り向くと兄ヒチョルの横に綺麗な顔をした男の人が居た。
ヒチョルとは違った・・・強いオーラを感じる。
優しい微笑みを浮べているのに・・・なんだろう。威圧感?気圧されている自分が居る。

「トゥギヒョン・・・。」

なんとも罰の悪そうな表情を浮べるキュヒョン・・・トゥギヒョンって・・・キュヒョンのところの一番上のお兄さん?

「・・・お前は後でペナルティだ。・・・リョウク、大人になったね。」

そういって優しくハグをするこの腕を・・・僕は・・・知っている。
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Comment

サジン

このお話のイメージにぴったりのウクたんのサジンを見つけたので、
それを見ながらまた読み返してしまいました。

ぶひひさんの描写とは、ヘアスタイルがちょっと違うのかな、とも思うんですが、
お屋敷の窓際でピアノの椅子に腰掛けているような雰囲気が出てる気がして、ちょっと気に入ってるのです。

こんばんは

わぁ、読み返していただけたんですか?!ありがとうございます。
私だけじゃなんなんで・・・ウクちゃんにお礼を言わせましょうか?
「ちょっと、なんで僕が。自分の妄想ぐらい責任とってよね。」
あ・・・怒られ&逃げられちゃいました。
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FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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