another ocean #14

2012.10.24 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean
YeSung side

『にぃに・・・』

背中でリョウクが泣いている。
その隣で腕にしがみついているのはキュヒョンか。
度重なる衝撃で目は霞んできているし、あちこちが鈍器で殴られたように痛い。
体を反転して小さな二人の体を抱きこんだ。

駄目だ・・・意識を失っては。

『にぃに・・・』リョギの声に辛うじて意識を保つ。
・・・大丈夫。心配しなくていい。にぃにが守るから。
目はギュってしてるんだよ?
体の外側を包む透明の殻がミシミシと音を立てて揺さぶられている。
大丈夫・・・割られたりしない・・・絶対に。

この信じられない光景から・・・目を背けてはいけない。
鼻に付く強烈な血の匂いが漂う中、人形のようによじれ、引き裂かれた女性が転がっている。
目の前には体が倍以上に膨れ上がった・・・赤く光る目の男が居た。

どうして・・・どうして!・・・父さん!!




穴に落ちるような感覚と共に、体のあちこちが痛む。
目を開けると・・・いつもと変わらない天井が見えた。

「・・・またか。」

幾度と無く見た夢だったが・・・今回はいつに無く鮮明だった。
痛みまで伴っているなんで、リアルすぎるぞ。

喉の渇きを覚え、起き上がろうとするが体に力が入らない。

えっと・・・なんでだ?ここまでリアルなのは・・・若干怖いぞ?

・・・夢以外に、何か忘れているような・・・。しばらく考え、あぁと思い至る。
リョウクに食べさせたんだ。
ぐっと歯を食いしばり上半身を起す。少し動くだけなのに汗が噴出した。
ちょうど膝の辺りに何かが丸まっているのが見えた。

・・・なんだ?

胎児がそうするかのように・・・膝を抱えて小さく丸まっていた。
・・・栗色の緩く巻いた髪・・・リョウク・・・。
手を伸ばし、その髪をなでる。

「・・・ん・・・」

嫌だとでも言うように小さく顔を左右に振った。
更に撫でていると、払いのけようと手を上げたからその手を掴む。

「・・・ん・・・ん?・・・ひょん?」

寝起きのすこし擦れた声も、きちんと発音出来てない音も・・・可愛い。

「おはよう。リョウク。」

そう言うと、がばっと跳ね起き、ベッドの上に横座りの格好で俺の顔を凝視する。

「・・・ヒョン。」
「ん?」
「ヒョン!」

飛びついてくるリョウクを受け止められるわけも無く、ヘッドボードに体を打ちつける。
グッと漏れそうになった音は、歯を食いしばってなんとか飲み込んだ。
リョウクは小さく震えていた。
その体にそっと腕を回す。
・・・あの時みたいだな。
肩口が温かく湿っていく・・・泣いているのか?

「どうした?何で泣く?」
「・・・だって・・・ヒョン、起きないから・・・僕、どうしようかと。」
「バカだな。ただ眠かったんだ。」
「だって!一ヶ月だよ!!死んじゃったのかと思った!!」

1ヶ月?!そんなにか!!そんなに寝ていたのか・・・勿体無い。

「リョウク・・・顔を見せてくれ。一ヶ月も会わなかったなんて・・・寂しすぎるだろう。」
「・・・バカ。」

一向に顔を上げないリョウクに痺れを切らし、腕に力を込めるとそっとその体を引き剥がした。
形のいい目からポロポロと涙が零れ落ちる。
両手で頬を包み、流れ出る涙を拭う。
白磁のような頬にはうっすらと赤みが差していた。

「久しぶり。」
「・・・ヒョンはやっぱりバカだ。」
「そうかな・・・よかった。いい顔色だ。」

そういうと更に涙を零した。

「ほら、何だってそんな・・・バカ!自分の事に無頓着すぎる!」
「リョウク・・・耳元で叫ぶな・・・にいには耳がいいんだ。」
「・・・んだよ『にいに』って・・・バカヒョン!」

呼んでくれてたじゃないか・・・そう言うといつそんな事いったよ!と返ってってくる。
何を言っても怒っているから・・・『ゴメン』と謝ってみた。

「・・・なんで?」
「怒ってるから。」
「・・・怒ってたら謝るの?」
「うん。」

そう答えると声を殺して泣き始めた。

「・・・もう、こんなこと・・・二度としないで。」
「嫌だ。」
「ヒョン!!」
「リョウク・・・どんな生き物であれ、命を摂取して生きている・・・そうだろう?不老不死のマーメイドでも食うぞ。お前は・・・恐れすぎだ。自家中毒だったんだよ。・・・食って安定するなら・・・俺ので良ければいくらでもくれてやる。俺は死なないしな。家に閉じこもっていなくて済むんだぞ?ドンヘのように出歩いたって大丈夫だろう。・・・いや・・・やっぱりあんな風には出歩かないでくれ。」

話している間中、顔を横に降るリョウクを力を込めて止める。

「・・・リョウク、うんと言ってくれ。俺たちはお前が健康で居てくれたらそれでいいんだ。ヒョンを安心
させてくれ・・・な?」
「・・・」
「・・・そして、出来れば・・・もう少し手加減してくれた方が・・・一ヶ月も眠るのは勿体無い。」

そういうと部屋の入り口の方から弾ける様な笑い声が聞こえてきた。
振り返るとドアに持たれたヒチョルと、そのヒチョルの肩を叩いて笑っているドンヘが居た。
いつからそこに居たんだろう。

「ヒョン、サイコー!!」

そう言って容赦なく飛びついて来たドンへ。
再度ヘッドボードに体を叩きつけられ、今度は堪えられずグッと喉が悲鳴を上げる。

「あ、ゴメン。」

そう言いながらもすぐ下の弟は一向に腕の力を緩める気配無く、リョウクを抱きしめる俺ごと抱きしめた。

「・・・ドンヘ・・・痛い・・・重い。暑い・・・。」
「それくらい我慢しろ。そいつも1ヶ月お前を心配してたんだぞ。俺にまとわり付いて、鬱陶しいったらないぞ。」

言葉とは裏腹に兄のブラウンアイは優しい光を放っていて、『ただいま』と唇だけで呟やくと、頷き返してくれた。
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FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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