another ocean #16

2012.10.26 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean

LeeTeuk side

暗い部屋の中、漂う血の匂いに目が覚めた。
横を見るとヒョクチェ達が三人団子になって眠っていた。

「・・・ジョンス?」

ヒチョルの声にシッと口に指を当てる。

「・・・なんだこれ・・・気持ち悪い。」

ヒチョルにも分るらしい。
弟たちを起さないように部屋から出ると辺りを見回す。
匂いがきつすぎて・・・何処へ行けば良いのか・・・その時、二階の端の部屋で強烈な匂いが吹き上がった。

「ジョンス!」

ヒチョルの声を余所にその部屋へと駆けつける。
ドアを開けて入ると男の背中越しに・・・リョウクと目があったような気がした。
赤く・・・光る目だった。
次第に傾いていく男の体。
真っ赤な・・・部屋の中で・・・血に染まった弟達。

キュヒョンを右手で抱きしめ倒れこんでいるジョンウンとその左腕から抜け出したのか放心状態で座っているリョウク。
慌てて駆け寄りリョウクを抱きしめ、床に倒れこんだ二人の様子を確かめる。
呼吸は・・・しているようだ。
無傷なのか?

『にぃに・・・』

小さな声で呟いて、腕の中のリョウクから力が抜け、崩れる。
その傍らには・・・見覚えのある切り裂かれた男女の遺体があった。

一人は見間違うはずが無い・・・母だ。

背後で微かに衣擦れの音がした。
振り返ると血まみれのヒチョルのお母さんが居た。
歩き方がおかしい・・・左腕がない。

「・・・かあさん?」
「・・・三人は大丈夫・・・返り血だから。」
「返り血?誰の?」

ヒチョルは自分の背中で見えていなかったのか・・・転がっている男の死体を指差す。
容貌は変わり果てているものの・・・あの身なりは・・・ヒチョルのお父さんだろう。

「・・・人魚を食らうと・・・不死になるか、ああなるの。ヒチョル・・・覚えておいて。ジョンス・・・あなたが今日から“イトゥク”よ。」

それは・・・父も死んだということなのだろう。
短時間に・・・何があったのかわからないまま・・・バトンが渡される。

『ごめんね。』

そういったヒチョルの母は本当に美しかった。
白い肌にブロンズ色の髪、エメラルドのように輝く緑色の瞳。

僕は強くならなければいけない・・・誰よりも。
弟達と・・・タブーを犯した両親の元に生まれてきたヒチョルたち四人を守る為に。

『殺してくれ』といった母の願いに小さく肩を震わせ、その願いを遂行するヒチョルを、ジョンウンを支えながら見て誓う。
お前を傷つける全てのものから守るよ。




「・・・ス、・・・ジョンス。」

どうやらまた落ちてたらしい。ホワイトアウトする寸前、ヒチョルの『助けて』っていう悲鳴が聞こえた気がしてヒチョルの首に腕を回し抱き寄せ、おでこにキスをした。

「・・・おい。何だよ。」
「じっとしてて。・・・ったく、就寝中を襲うなよ。」
「・・・でも良かっただろう?」

真顔で聞くから思わず笑ってしまった。

「・・・んだよ。」
「まぁね。」
「ほらみろ。」

そう言って大人しく僕に抱きしめられているヒチョルに違和感を覚える。

「なんか・・・あったでしょ?・・・夢見たとか?・・・イェソン居ないから?」

ピクリと反応したものの、微動だにしない。
どうやら図星らしい。
居なくなって早々こうなるのか・・・先々が心配になる。
ヒチョル自身の精神状態も・・・そのありったけをぶつけられる僕の体も。

あの家の・・・精神安定剤みたいなイェソンを思い出し、お前も大変だよなと心の中で話しかける。
しかし・・・こいつは僕に甘えすぎじゃないかな?
珍しく髪を撫でても大人しくしている。
いつもなら鬱陶しそうに振り払うのに。

ね、分ってる?お前、今僕よりイェソンがいないことに不安を感じているんだよ?僕の腕の中で!

おでこにキスをすると顎を上げてこっちを見た。その魅力的な瞳にもキスをする。

「ヒチョル。」
「ん?」
「僕はお前のだけど・・・ヒチョルは・・・俺のものにならないの?」
「?・・・今更なんだよ。お前のだろ?」
「うーん・・・そうじゃなくって。」

ヒチョルの全部が欲しいんだけどな。
体を反転させヒチョルを見下ろすと、今はブラウン色のその瞳を見つめたまま唇を舐める。
迎えに来たヒチョルの舌を絡めとり、呼吸も忘れるほど執拗なまでに味わう。

「・・・っはぁ・・・血と肉以外なら・・・やるよ。お前に。」

やっと離した唇から、吐息と共に聞こえた言葉・・・腰に甘く疼く。

「・・・全部じゃないのが、残念だよ。」

そういって首筋を舐め、鎖骨にキスをすると『パボ』と帰ってきた。

冗談と思っているかも知れないけれど、本当に・・・全部じゃないのが残念なんだよ。

実の弟に嫉妬して張り合うなんてどうかしているが・・・今、この瞬間だけでも頭の中が僕だけになればいい。
お前の心を占領しているものが許せないんだ。
道端に落ちている石ころにだって・・・ヒチョルの心に留まるなら全て砕いてやると半ば本気で思っている僕は、周りが思うより偽善者で・・・自己中心的なんだよ。
言動とは裏腹に繊細な心の持ち主のヒチョルには、アノ日のことは忘れ去ることが出来ない事だろう。
僕たち兄弟に申し訳なく思っていることや、時々ボーッと両手を見つめているのを知らないとでも思っているのだろうか?
きっと血で赤く染まった・・・アノ日の感触が蘇って来るんだと思う。
忘れろよ。気に病むな。
そう言われて、はいそうですかと出来るような器用なヤツじゃないし、素直に認めるようなヤツでもない。
『何で俺が。』『ばーか』そう言うに決まっているんだ。


だから、僕は誰よりも“イトゥク”であり続けるよ。お前の為に。お前の弟の居場所のために。
反発する奴らを根絶やしにしても。


僕はヒチョルになら何をされても平気だけど・・・ヒチョルはそうじゃないよね?
手も舌も僕自身でも・・・ヒチョルを愛することで忙しい最中、表情を伺い見ると、俺の下でヒチョルの綺麗な顔は羞恥心に歪んでいる。
眉をよせ固く目を瞑った目じりには微かに光るものがあった。

「・・・綺麗だ。」
「・・・っはぁ・・・バカっ・・・・っしゃべる・・・な・・・。ひ・・・びく・・・。」

切れ切れに喘ぎながら頭をそらせるから、喉基が浮かび上がる。
その喉を舐め上げ、一際大きく突き上げると悲鳴のようなヒチョルの声が上がる。

「ヒチョ・・・・ヒチョル・・・僕の名前を呼んで?」
「・・・ス・・・ジョンス!!・・・ぁああああ!」

登り詰めるヒチョルを抱きしめながら思う。
僕を食らうヒチョルは・・・僕で構成されているんだ。

中も、外も・・・僕のだ。
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Comment

ちももさんのお休み万歳!

コメントm鍵コメやメッセージ・・・リアクション嬉しいです。
ありがとうございます。

そっかぁ・・・お尻が・・・。肩も限界に近いっすよね?
ええっと当方には一切の過失はなく・・・^ー^;
嘘です、そこまで読んでいただけて光栄です。

あ・・・いま、Our Love⑩書いてたら・・・妙なアクションしちゃって
はい、消えた。

今日は諦めます。
今二作品書いてますが、順番も何もなく思い浮かんだエピソード順に書いているので
どれをどう並べようか・・・とカルタのように札を見つめ直さねばならなくなっています。

・・・つながるのか不安になっとります。シウォンに祈っててください。
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FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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