another ocean #18

2012.10.28 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean

ShinDong side

「ソンミナ!」

めったに鳴らないインターホンがなり、玄関のドアを開けると、見知らぬ男の肩に左腕を回し、右腕で腰を引き寄せ抱えられたソンミンがいた。
顔色は・・・真っ青というより土色に近い・・・酷くくすんで見えた。

「・・・上がっても?」
「あぁ・・・」

ドアを押さえ玄関に迎え入れ、ソンミンの靴を脱がせる。

「・・・どっちですか?」
「廊下、突き当たり右の部屋。」

そういうと、ソンミンを支え部屋へと足を向ける、痩せ型の背の高い男の後姿を見送った。
ドンヒはバスルームに駆け込むとキャビネットからタオルを一枚取り出し水に浸して絞った。
冷凍庫にある保冷剤をその中に包み部屋へと向う。
開いたままのドアから、額に手を当てたベッドの上に転がったソンミンの胸元のボタンを外し、ベルトに手をかけようとした男の姿が見え、慌てて声をかけた。

「おい、何してる。」
「・・・体を縛るものから開放されたほうがいいです。気分の悪い時は。」

そういって、ズボンのベルトを緩め抜き取るとジーンズのボタンを外した。

「水、ここに置きます。」
「・・・ありがとう。ドンヒ、悪いけど・・・僕の代わりに・・・御礼を・・・」
「いいです。じゃぁ、お大事に。」
「・・・ドンヒ、お願い。」
「あぁ・・・わかったから。」

ソンミンの額にタオルを置くと、気持ちがいいのか少し表情が綻んだ。

「こっち・・・来てくれ。」

部屋から出て、ダイニングへと移動し、そいつに向き直る。
少し巻いた黒い髪に雪のように白い肌、漆黒の瞳。綿パンに白のシャツというありふれた格好なのに、何処か洗練されて見えるのはスタイルがいいからか・・・育ちがいいのか。

「・・・何か?」

端的なそっけない言葉に、随分と無遠慮な視線を送っていたのだろうと気付く。
気分を害しているようだ。

「コーヒーでいいかな?」
「・・・ありがとうございます。」

最低限の社交性は持ち合わせているらしい。
見知らぬ人を親切にも助けて部屋まで送ってくれたというのに、この警戒心は何処から来るのだろう。
何がしっくり来ないのか、シンドンは自身を計りかねていた。
俺は何を考えているんだ・・・ドンヒは軽く頭を振ってコーヒーメーカーに水を継ぎ足す。
コポコポという音と香りが部屋に満ちた。
突っ立ったまま部屋を見回していた男にコーヒーをマグに注ぎ、差し出して、テーブルに座るように促す。

「ありがとうな。ソンミン、重かっただろう、ああ見えて。」
「ソンミン?あぁ、あの人の名前ですか。いえ・・・大丈夫です。こう見えて力あるので。」

本当に・・・見るからに非力そうなのに・・・大の男1人を抱えて帰ってきたのに、息1つ乱さず、汗もかいていない。

「俺、シンドン。お前は?」
「キュヒョンと言います。」
「あいつと、何処で?」
「えっと・・・この少し先の・・・カーブになった坂の所です。」

兄貴の・・・家の前ってことか・・・。
この1ヶ月、食事や睡眠もそこそこに、ソンミンは部屋でボーッとしていることが多かった。
かと思うと急に出かけていって、そしてフラッと帰ってきた。
初めは血相を変えてソンミンを探したが、この妙な生活に慣れてしまった自分がいる。あいつは・・・一度締めなきゃいけないな。
コーヒーを啜りながら、部屋中をくまなく見回すこの男が気になってきた。

「そんなに珍しいか?」
「?」
「部屋。」
「いえ・・・・・・ええ、そうですね。なんていったらいいのか・・・面白いです。」
「面白い?」
「はい。じっくり他人の部屋を見る機会もないですし。」
「おいおい・・・連れの部屋ぐらい行ったことあるだろう?」
「連れ?」
「友達のこと。」
「・・・あぁ・・・そうですね。」

ちっともそう思っていなさそうな返事をする。
カップの中を覗きながらコーヒーを飲み干し、時計を見て立ち上がった。

「ごちそうさまでした、帰ります。」
「いや・・・こっちこそ・・・あ、そうだ。夕飯食ってく?ソンミンも起き上がって来るかも。」

そう聞くとギョッとして顔を上げた。

「・・・いえ。夕食時に家に居ないと・・・殺されますので。お大事にとお伝えください。」

殺されるって・・・どんだけ箱入り息子だよ。
音もなく立ち上がって靴を履くと、「お邪魔しました」と軽く会釈をして出て行った。

カップを下げ、洗っていると足音が聞こえて振り返る。

「・・・起きて大丈夫なのか?」
「うん。・・・心配かけてごめん。・・・彼、帰ったの?」
「あぁ、すこし前にな。」
「・・・そっか。」
「もう少し寝てろ。・・・それに、ちゃんと食え。俺にアレコレ言われるのがいやだったら、もう少し何とかしろ。」

『はいはい』とでもいいたそうに、手を振りながら去っていく背中を見つめながら・・・さっきのアイツを思い出す。

あの後姿・・・何処かで・・・見たことがあるような?でも・・・初対面のはずだ。

それに・・・あいつ・・・足音がしなかった?

遠ざかっていくソンミンの足音を聞きながら、背筋がゾワゾワとするのを感じた。
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FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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