another ocean #23

2012.11.03 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean
EunHyuk side

「ウニョガ、キュヒョンどこいった?」

トゥギヒョンに言われて、一瞬体が固まった。オットマンに足を乗せてくつろいでいたシウォンも本から目を離しこちらを見ていた。
嘘をつくのは嫌いだし、得意ではない。

「・・・分らない。最近1人が多いんだあいつ。」

じっとヒョクチェの顔を凝視するイトゥクから目をそらせるはずも無く、ウニョクは事実を述べる。

「・・・そっか。お前らいつも一緒なのにな。・・・ケンカでもしたのか?」
「いや。無いよ。」
「ならいい。」

イトゥクは考えこむように組んだ手でテーブルに肘をついた。

「?ヒョン?何かあるの?」

同じように肘をついて頬杖をつくドンヘをみて、イトゥクはふわっと微笑んだ。
人懐っこいドンヘ。一族の誰もが恐れ敬うイトゥクに対しても・・・一切の気負いを感じさせない。
いくら兄弟がらみで仲がいいといっても中々出来ることではない。この男はイトゥクのもつ威圧感を感じ取ることが出来ないのか、はたまたそれすらも怖いと思わないのか。

「なんでもないよ。ドンヘ。」

そういって手を伸ばして、ドンヘの頭をぐちゃぐちゃと撫でたイトゥク。
ドンヘは垣根を取り去る天才なのかも知れない。キュヒョンの甘えた毒舌を許し、イトゥクの威圧感を取り去る。

「あー・・・なんだよもう。」
「ちょっとね・・・気になって。ヒョクチェ、キュヒョナに1人で出歩くなって釘刺しといて。・・・あれ?ドンヘ・・・リョウクは?」

そういうとドンヘは眉をさげる。

「・・・あいつ、最近疲れやすくなってて・・・俺、食えって言ったんだけどさ・・・。首を立てに振らないんだ。」
「・・・まぁ・・・リョウクにとってイェソンは特別だからね。」
「「「え?」」」

トゥギヒョンの言葉に同時に反応した俺ら。
イトゥクの目の中に微かな動揺を感じ取り、真意を探るべく視線を噛み付かせた。
リョウクは最近まで家から一歩も外に出ていない。イトゥクがリョウクの長兄ヒチョルと特別な仲だとしても、そこから漏れ聞いたとは思えないほど、言葉に重みがあった。・・・そう思う確証が・・・イトゥクにはあるのだ。
逡巡したイトゥクはヒョクチェから目を離し、短く息を吐いた。

「・・・お前らも知ってた方がいいかもな。・・・ドンヘ、親がいなくなった理由をヒチョルやイェソンから聞いたか?」

そう聞くとブンブンと大きく頭をふった。

「僕らの関係は?」

それにも大きく頭を振る。
イトゥクが話し出す言葉を受け止めようと居住まいを正していると、シウォンも同じ思いだったのかイトゥクの横に座りなおした。


「・・・僕らはさ、従兄弟なんだよ。母さんの弟がドンヘ達のお父さんなんだ。」

そういって兄は静かに微笑んだ。

「僕らは小さい頃、それこそ兄弟のように一緒に育ったんだ。おばさんも母さんと仲が良かったしね。父さんと叔父さんの仲は微妙だった。純血種を誇る一族なのに“イトゥク”の義理の弟がタブーを犯しているんだ。身内だからと甘い顔をするわけに行かないからね。排除とまでは行かなくても何らかの行動規制が叔父さんにはあったと思うよ。叔父は・・・自分の行動に逐一干渉してくる父が疎ましかったと思う。彼も・・・“イトゥク”の妻になることが出来る女の弟だ。力はそう父と変わらないという自負があったろう。目の上のたんこぶを排除すれば・・・自分がその地位に取って代われる。そういう妄想を抱いたっておかしくない。・・・通常なら一蹴されておわるが・・・彼は手にしていたんだ。最強のカードを。」

そこまで言うと、イトゥクは目を伏せた。

「・・・それって・・・。」

ドンヘの声が震える。

「そ、人魚。・・・不老不死といわれているよね。初めはそんな事知らなかったのかも・・・あるいは知っていても、そんな事思いつかなかったかもしれない。あの日はさぁ・・・遊びに来てて・・・ドンヘが帰らないって言ったんだ。」
「俺?」
「うん。いつもそんな事言わないのに、泣いて帰るのを嫌がって・・・じゃぁって子ども四人泊まることになったんだ。」
「・・・」
「その晩、父は帰ってこなくて・・・強烈な血の匂いで目が覚めた。マンネ組みが寝ていた部屋で変わり果てた母と、叔父さんをヒチョルと発見したんだ。」
「・・・ヒョン、何が?」

シウォンが問いかける。

「これは推測だけど、叔父さんは・・・おばさんの力を手に入れようとした。父に対抗する力を手に入れるために。そして・・・リスクも当然桁違いに大きい。ある意味成功したよ。彼は想像以上の力を手に入れた代わりに・・・知性も手放した。」

さぞかし・・・僕らは今間の抜けた表情をしていることだろう。言葉どころか・・・息すらつけない。

「叔父は、本能で次の“イトゥク”を消しにここに来たんだと思う。イェソン・・・いやまだジョンウンか。ジョンウンはどのくらいの時間二人を抱きかかえて耐えていたんだろうね。大人の力に7歳の子どもが弟達を守ってたんだよ。僕らが部屋に入ったときは変わり果てた母と変貌した叔父の姿を見せないように、マンネを抱きかかえて倒れてた。」

『・・・ドンヘ。』とイトゥクはそう呼びかけて向き直り頭を下げた。
「ありがとう。今僕がここにいるのはお前のおかげだね。ベッドに入っても何かをずっと怖がっていたお前を抱きしめてたから・・・叔父さんは僕に・・・僕らに気が付かなかったらしい。自分で思っているよりもずっと沢山のことをお前は出来ると思うよ。」

“イトゥク”を超える力を手に入れた叔父・・・子ども達を守る為に立ちはだかったであろう母。じゃぁ・・・そんな叔父を誰が?

「・・・ヒョン・・・ドンヘのお父さんは・・・。」

同じ事を思ったのだろうシウォンが口にした。

「・・・僕じゃない。僕とヒチョルが駆けつけたときにはもう亡くなっていた。イェソンには防御で精一杯でそんな余力は残ってなかっただろうね。」
「じゃぁ、誰?キュヒョナ?」

ドンヘの問いにゆっくりと首を振る。じゃぁ・・・残ったのは・・・。

「・・・段々自分を抱きしめる兄の力が弱くなっていくのを心細く思ったかもしれない。ジョンウンを護るためだったのだろう・・・当人も覚えてない。あと少し遅ければ、ジョンウンは耐えられなかっただろうから。・・・強いよ。数十年も・・・血が欲しいという情動ですら、無意識にそれこそ体調が悪くなるほどに意識下に押し込んでいるんだ。」


チラッと俺を見て、片方の口角を上げた。『食ってないお前は足元にも及ばない』とでも言いたげに。
関連記事
スポンサーサイト

Comment

非公開コメント

| 2017.10 |
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
プロフィール

ぶひひ

Author:ぶひひ
IKBへようこそ!

FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

最新記事

最新コメント

カテゴリ

最新トラックバック

月別アーカイブ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

ページトップへ