another ocean #31

2012.11.20 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean
LeeTeuk side

月が出ているのに・・・新月の時のように静かな夜だった。
月の光が室内を優しく照らす。

ベッドの上のリョウクは、月明かりの下でエメラルド色に輝き、ミルクガラスで出来た何かの抜け殻のようだった。
痛みから解放されたその顔は幸せそうに笑みを湛えていて、美しいと思った。



夜明けまであと少し・・・戻らない二人を気にしていると、頬を熱い風が撫でたかと思うと大きな音がして窓が開き、そこに崩れ落ちるシウォンと辛うじて立っているイェソンが居た。

「シウォナ!!」

駆け寄って抱き起こすと、手を上げて『大丈夫』とでも言いたげなサインを寄越した。
一晩中休まず駆けて来たのだろう、帰りはイェソンを抱えて。
タフなシウォンと言えど疲労が濃かった。
キュヒョナと両脇から抱えるようにシウォンを支え、ウニョクが座るソファーへと連れて行き下ろす。

「・・・リョウクは?」

イェソンの声にヒチョルがベッドを指す。

「・・・少し、遅かったな。・・・ずっとお前を呼んでいた。」

ヒチョルがそういうとドンヘが鼻を啜る音がした。

「・・・ヒョン・・・リョウクはどこだって?」
「目の・・・前にいるだろうが。」
「違う・・・違うんだ。髪は・・・栗色で・・・フワフワしてるんだよ。
それから・・・肌も・・・つるっとしていて・・・
白磁みたいに透明感があって綺麗なんだ・・・こんな・・・こんなんじゃ・・・。」

空気が細かく振動し、それはまるでイェソンの心の動きを反映しているかの様だった。

『嘘だ・・・違う・・・何かの間違いだ。』

イェソンの想いが・・・耳からではなく・・・直接脳に響く。
そっとリョウクに手を伸ばすと、ピンッと甲高い音がして弾ける様に・・・リョウクが細かな破片となって砕け散った。

「あ・・・あぁ・・・・うああああああああ!!!」

イェソンの声が、空気を震わせる。
空気が・・・熱い。
・・・痛い。
呼吸することすら侭ならず、体を折って苦痛を和らげようとするが効果があるようには思えなかった。


イェソンの胸の内に去就しているであろう映像がダイレクトに伝わり・・・頭が割れそうに痛い。

小さい手を広げて抱っこをせがむ幼い頃、
抱いているイェソンの手から逃れようと母を呼んで体を仰け反らせて拒絶する姿。
ドンへと一緒に転げまわって遊んでいる姿、
歌を歌うとぼーっと聞き入る姿、
ピアノの前に座り月明かりの下笑顔を見せる様子。
そのどれもに・・・愛を感じる。
とてもとっても大事にしてきた弟。


「ドンヘ!!トゥギ達を頼む。」

そうヒチョルの声が聞こえ、痛みが和らいだのを不思議に思って顔を上げるとドンヘの背中があった。

「ドンヘ・・・。」
「・・・話しかけないで。」

手の中に何かを持っているような仕草をしていて、その一点に集中している。
ドンヘの前に薄い膜のようなものがあり、それが自分達を内包していることに気がついた。
その外側はミシミシと音をたてて世界が揺れている。

「ジョンウン!止せ!!全部壊す気か!!」

ヒチョルがイェソンの肩に手をかけ振り向かせたが、その目は何も映していなかった。


「・・・させるか。」

そう呟くと右手をイェソンの後頭部に回し、イェソンの口をヒチョルのそれで塞ぐ。
全てを・・・自分の中に閉じ込めてしまうように。
グッという悲鳴を飲み込むような音がして、ヒチョルの顔が苦しげに歪められた。


どの位そうしていたのだろう・・・。
唇が離れると力なくその場に崩れ落ちたイェソンと、体を二つ折りにして床に倒れ咳き込んだヒチョル。
口元に血が滲んでいる。

「ヒョン!」

駆け寄ったドンヘに抱き起こされ、ヒチョルが喘ぎながらもイェソンに手を伸ばし、その手を握る。

「ちゃんと伝えたぞ。リョウクからの言葉。最後のキス。」

しっかりと口を横に結んで、音にするまいと・・・皆を傷つけまいと両手で口を押さえるイェソンが堪らなく不憫になる。
言葉にするまでもなく、感情を伴った空気の振動ですらその力が影響してしまうなんて・・・泣けないなんて。
そっとその肩を抱きしめる。

「ごめんな。お前を泣かせてもやれない。ごめんな。」

そういうとベッドに持たれ口を押さえて小さく座ったまま、頭を左右に振った。
ふっ・・・うっ・・・と微かな音と共にヒチョルが伝えたリョウクの言葉が漏れる。


<ヒョン、僕幸せだったよ。
 ねぇ、もう一度・・・名前を呼んで?
 ・・・特別だって思わせてくれる声で『リョウク』と呼んで欲しい。
 もう一度・・・生まれてきたら、僕ら・・・出会えるかな?
 僕を・・・探して、見つけてくれる?
 今度は・・・愛してるって・・・ちゃんと言ってくれる?
 僕はここだよって呼ぶから・・・今度は叫ぶから・・・ちゃんと答えてね。
 愛してるって・・・。ジョンウン・・・愛してる。>


「俺も・・・リョウク・・・愛してる。」

ぐしゃぐしゃの顔でそれだけ言うと、袖でゴシゴシと顔を擦っりベッドに向き直るとリョウクの欠片の中から1つの石を見つけ摘み上げる。
大粒のアクアマリンだった。
ベッドサイドのデスクからペーパーナイフを見つけると、躊躇無く自分の胸を刺した。

「ジョンウン!!」
「・・・何やってるんですか。」
「・・・これでいつも一緒だ。」

そういうと胸元を肌蹴、その傷口にアクアマリンをねじ込む。
ジョンウンの心臓の上に光る淡いブルーの石が、血にまみれながらもキラリと光る。




「・・・れ?血、止まんない。」

「ぶっ・・・ははは。」

ドンヘが堪らず噴出した。

「・・・お前は、正真正銘、大ばか者だ。」
「ひどいな。・・・ヒョン、舐めて。」

いやいやいや・・・ないでしょ。

「・・・はぁ。来い。」

大きくため息をついて、ドンヘにも垂れたままイェソンの手を取るヒチョル。


「「「「ええええ!!!」」」」

絶叫する僕ら兄弟をキョトンと見る三兄弟。

「?何?なんか可笑しい?」
「だって・・・」
「なぁ?」
って真っ赤になってる僕らに「アホ」といってヒチョルはイェソンの胸元に舌を這わせた。
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ぶひひ

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FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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