another ocean 番外編

2012.11.22 00:00|☆another ocean 【完】
another ocean
DongHae side



「懲りない人ですね。」

真上から降ってくる不機嫌な声に目を開けると、枕元に長袖長ズボン、サングラスと完全防備の男が立っていた。逆光でよく見えないものの・・・片方の口角だけ上がってるのは確かだろう。

「・・・プールにはあれっきり誘ってないだろ。」
「ええ、そうですね、ありがたいことに。その代わり海にお誘いいただいた訳なんですが。ヒョンの中で一緒のカテゴリに分類されないってことが驚愕の事実です。」
「・・・付き合えとは言わなかっただろ?」
「あんな顔しといて、そんなこと言うのはどの口ですか。エラ呼吸ですか。」

エラ呼吸は・・・関係なくない?
そもそも違うし。ちゃんと肺呼吸してるし。

「・・・キュヒョン、お前一人?」

落ち着かない気持ちで確認すると『皆来てます。』といわれギョッとする。

「長兄達を除いてですけど。」
「・・・焦らすなよ。」

立ち上がって体についた砂を払い、敷いていたランニングシャツに腕を通す。
『どこ?』と聞くといくつかある東屋風の海の家の一つを指差した。

あれから・・・数えるのも億劫になるほど歳月は過ぎていった。相変わらずドンヘの傍にはウニョクとシウォンがいるし、兄たちも弟二人分の減らず口をたたくキュヒョンもいる。キュヒョンはソンミンといったあの男と幾度か巡り合っていたが・・・・リョウクはよっぽど母の傍が居心地がいいのだろう。時々水平線を見て、寂しそうに笑うイェソンを何度抱きしめたか分からない。

「・・・にしてもあっついですね。」
「夏だからな。」
「誰かさんのせいで溶けそうです。冷たいものでもあれば別ですけど。」
「・・・素直に買えと言えよ。」
「そこは言わなくても気づいてくださいよ。」

こいつに口で勝てたことは一度もないことを思い出し、諦めることにする。
大げさにため息をついて目に入った屋台でかき氷を頼む。

「二つ・・・いや、五つ。」
「はい。ありがとうございます。味どうされますか?」
「ヒョン、トッピングにアイスも追加してくだ・・・さい。」

後ろから付いてきたキュヒョンに文句を言おうと振り返ると、店員の愛想のいい女の子を凝視して固まっている。

「?あの・・・アイスもですか?」
「・・・はい。」
「5つとも?」

様子がおかしいキュヒョンが気になったまま、そう聞かれ却下できなくなって、頷く。
作業をする彼女を呆然と見つめるキュヒョン。その視線に気づいて落ち着かなくなっている彼女。

「・・・あの、失礼ですけど。どこかでお会いしたことがありますか?」
「・・・いえ。」
「そうですか。」
「・・・お名前伺っていいですか。」

そう話していると、後ろから『答える必要ないよ。」と不機嫌な声が投げつけられる。

「アンジュ!」

ウェットスーツのジッパーを下げ、上半身だけ脱ぐと袖を腰の部分で結ぶ男の子がいた。

「悪いけど、うちのねーちゃんナンパ野郎と話す時間なんてないし。」

そう言って俺らを睨むと、さっさとオーダー品を用意すると金額を言って手を突き出した。

「・・・そうね。あんたが店手伝わずにどっか行ってしまうから休憩の時間もないわ。」
失礼な弟ですみませんと頭を下げられ、キュヒョンと二人顔を横に振る。
「・・・う。」
「朝から晩まで潜って・・・いつか・・・あんたまで戻ってこないんじゃないかって心配になる。」
「大丈夫だって。海では死なない気がするんだ。」

そう言って笑った顔は・・・見たことがある。
いや、どこがって・・・わけじゃないんだけど。
短髪で日に焼けて浅黒くて・・・正反対なタイプなのに・・・知ってる。

「・・・口、開いてるよ?大丈夫?・・・酸素、足りない?」

クリッとした目元が・・・リョウクを思わせた。

「はい、商売の邪魔だからどいてねー。」

そう言われ、キュヒョンと二人手分けしてカップを掴む。
後ろ髪を引かれる思いで、立ち去ろうとした時
兄の・・・掠れているけれどよく通る声が飛んできた。

「ドンヘ!!!・・・ったく、お前は。」

傍まで来ると、『これ俺の?食っていい?』と聞いてくる。



ヒョンは・・・気づかないの?



後ろを振り返ると、アンジュと呼ばれた男の子が・・・泣いていた。

「・・・ちょっと、どうしたの?」
「ん?何?」
「・・・あんた、泣いてる・・・。」
「へ・・・ホントだ・・・なんで・・・だろ。止まんない。」
                                            fin
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Comment

お久しぶりです。

えっとごめんなさい、お名前がなくてどなたかわかりませんが(笑)
読み返していただきありがとうございます。
ホントに・・・初めて書いた作品。暗めのやたらと長いやつです(笑)

>このシリーズは初めから最後まで読むと涙がたくさん出てきますT^T
ありがとうございます。時間かかりましたでしょう?すごい嬉し・・・(´;ω;`)
あまり泣けない私・・・自分が泣くために書いたものです。

>最後のリョウクの言葉に本当に涙が出てきてしまいます
この言葉のためだけのアナザーだと・・・リョウクの思い、兄弟のリョウクへの思いを書きたかった・・・って私は兄さんペンなのに・・・。
『兄弟愛が…本当にすごいです!』m(_ _)m
シリーズの続きせすかぁ・・・そうですね、anotherocean・・・違う海があってもいいはずですよね。あぁ・・・でもいろいろ渋滞中。
お約束はできないですが、今目の前にあるものから頑張ります!
時々頑張っとるかねって監視に来てくださいね!!
コメありがとうございました!!

マーさん

はじめまして!いっきに読みありがとうございます!!

>こういうストーリーって、パッと思いつくものなんですか?

えーっと・・・断片的に思いつきます。
幾つかのシーンを一つの流れにしていく作業、パズルみたいです。
あ、こんな風な話だったんだって最後に気づきます(笑)
これは・・・キュミンの出会いが思いつかなくて・・・ずーっと欠けていました。
「涙」・・・初めて書いたSJなだけにものすごく嬉しいです、ありがとうございます!


パスワード請求・・・。
コメント等見落としないように注意を払っているのですが・・・ごめんなさい。
見落としちゃったかもしれません。
夕食後、捜索したのですが見つけられず・・・急いでますよね?
寝落ちして指がタップして・・・あってはならないことですが、消えちゃったかも・・・。
パスは「はじめに」かカテゴリ『色』シリーズでの「新シリーズ紹介」を読んで頂けるとお分かりいただけるかと思います。
それでも入れなかった場合、またおっしゃってください。

楽しんでいただけるものが書けていますように。
またお声を聞かせていただけると嬉しいです。

No title

三度目 通しで読ませていただきました。 あ もっとかも、、、、 言い回しとか好みでスクロールして何度も読み返してます^^:あえて。番外編でコメさせていただきました.
リョウク。。。。儚いです。 本人動いてるのみても なんだか切なくなるくらい、お話の中のリョウクに移入しすぎてます。 どんだけ泣いとんねんって感じです。

三度・・・

ありがとうございます。

>言い回しとか好みでスクロールして何度も読み返してます^^:

くふふふ、嬉しい!!
あえての番外編、私も読み返すきっかけになりましたありがとうです。

> 本人動いてるのみても なんだか切なくなるくらい、お話の中のリョウクに移入しすぎてます。 

ヤバイですね(笑)感動して泣いているみたいだけど、頭の中は別の事ww
大変ですね、ごめんね?
どんだけないとんねんwww。

うはははwwww。どんだけでも泣いてくれ~。
私、その言葉にニヤニヤ笑っててキモチワルイ生き物になってるよ。
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ぶひひ

Author:ぶひひ
IKBへようこそ!

FF、SJ中心で・・・BL取り扱いです。

CPはイェウクを中心に・・・83はもちろん、2woon ウンシヘ マンネラインまでほぼ全てに萌える○態です。
まぁ"みんな違って みんないい”ってことで。

*作者の脳内でのお話ですので、当然事実と異なります。事実も都合のいいように解釈し捻じ曲げ、誇張します。苦手な方、取り扱い注意です。

紙媒体化はじめました。(カテゴリ『はじめに』・・・より『本棚』へどうぞ)

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